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1章 12

مؤلف: 深田あり
last update تاريخ النشر: 2026-05-03 20:02:03

 あの後、アコには家で待機させ、放課後になってからアコの案内でイヤホン専門店とやらに向かうこととなった。紐育と一緒に三人で。

 電車にしばし揺られ、駅を出ては人の喧噪をかきわけ、ビル街を通り過ぎ、裏通りにさしかかったところ。ビルの四階にある店舗がそれだ。

「ここです!」

 店の前をびしっと指さすアコ。その顔はすげえ嬉しそうであった。

「アコ知ってるんだ」

「そもそも私、ここで売られてましたから」

「人身売買みたいな言い方しない」

 俺はぺしっとアコのおでこを叩いた。結構客入りは多いのだ。誰が聞いているかわかったもんじゃない。

「あでっ。さ、色々聴いてみてください! スマホの準備はOK?」

「ノリノリだなあ。といっても曲そんなにないよ」

 むしろなんでああるのかというレベルである。昔適当に数曲ダウンロードしたことがあったのだが、なんでダウンロードしたのかとんと思い出せない。

 しかしアコはなんてことのないように鼻息を荒くしながらどんと自身の胸を叩いた。

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  • イヤホン『アコ』の恋   終章 2

    「もう一度聴かせてよ」 「いいよ」   それからの日々。学校で、家で、あるいは紐育と遊ぶときでさえ、俺はアコを聴いていた。   紐育は怒りもしない。それどころかアコを聴きたがる。   HRが始まる前のつかの間に、俺は紐育と音楽を聴く。そんな日課が出来ていた。   紐育はアコをつけ、音楽を楽しむ。 「やっぱりいい音だよね。八島、他にイヤホンは買うの?」 「買わない。いらない」 「だよね」   ぱちんと紐育がウインクした。   俺は紐育からイヤホンを受け取ると、自分の耳につけて、スマホをタップ。   流れてくるのは、宝石のような、シルクのような、あるいは太陽のようなサウンド。   明るくて、きらめいて、なめらかで、心地よい。 「だってアコの音、こんなに綺麗なんだぜ? 聴いてるだけで涙が溢れてくるんだぜ?」 「わかった。だったらさ」 「……ああ」   俺はこくりと頷いた。 「しかしバイトって大変だな」   俺は紐育の勧めでバイトすることになった。   最初は神社でバイトするのかと思ったが、予想が外れた。ファミレスやスーパーのバイトだと紐育がつきあえない。   ということで、地元の村役場の手伝いというか、ゴミ捨てとか、井戸洗いとか、二十一世紀の今にもそんなものがあるかと驚きを隠せないような仕事で金を稼ぐこととなった。 「ぶつくさ言わない! 黙って仕事する!」 「いてっ! 叩かなくてもいいだろ!」   振り向くと、箒を手にした紐育がいて、彼女は巫女装束をまとい、髪の毛を結っていた。   おうおう、楽そうでいいねえ。 「だってDAP買うんでしょ? アコちゃんに相応しい、最高のDAPを」 「ああ、だってアコが可哀想じゃないか。最高の音を鳴らさせてやらないと」   とはいえ、それなりに音のいいDAPとなると、安くても十万円を超えるのだ。ファミレスのバイトを週五でやっても二ヶ月はかかる。   三十万も四十万もするハイエンド? 無理です。   それを一ヶ月で稼ぐとなると、そらもうキツくて、臭くて

  • イヤホン『アコ』の恋   終章 1

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  • イヤホン『アコ』の恋   4章 9

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  • イヤホン『アコ』の恋   4章 8

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  • イヤホン『アコ』の恋   4章 7

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  • イヤホン『アコ』の恋   4章 4

     じっと、アコを見つめる。 「アコ……」   ぽつりと、アコの名前を呟く。   果たしてどうすればいいのか、俺は腕を組み、目をぎゅっと閉じる。   しかし世界を闇が包み込むだけで、そこには何ら光明が見いだせない。   見かねてか、紐育がつんつんと背中をつついてくる。 「八島……あのさ」 「待ってくれ、紐育」 「え?」 「今、考えてる」 「考えるったって……」   紐育の声は少しだけ呆れているように思える。   だが俺は構わず目を閉じたまま、どうすればいいのか、何をすれば

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  • イヤホン『アコ』の恋   1章 1

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  • イヤホン『アコ』の恋   序章 

    朝起きたら素っ裸の女の子に『絡まれて』いた。 頭の中に無数のクエスチョンマークが浮かび上がり、消えることなく俺の脳を瞬く間に埋め尽くす。 はてなが一つ出現する度に俺の心臓は激しく鼓動し、全身からは変な汗がにじみ出す。 絡まれている。 これは比喩ではない。 ベッドに俺は仰向けで寝ている。まあ自分の部屋で寝ていたのだから当然だろう。窓から差し込む光はまだ薄らとしていて、いつもの起床時間より一時間以上は早いと思われる。 しかし俺の体は現在鎖で縛られているかのように女の子の腕に、脚に、体に、髪によって全身を絡めとられていた。 ぬくもりが、ホットミルクのような心地よい暖かさがパ

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